「悪いけど、その机、つっておいてくれる?」
もしあなたが岐阜県でこう頼まれたら、どうしますか?天井を見上げてフックを探したり、「吊るなんて無理ですよ!」と慌ててしまったりするかもしれません。実はこれ、岐阜県民にとっては「机を運んでおいて」という意味の日常的なお願いなのです。

面白いですよね!このように、標準語とそっくりなのに意味が全く違う言葉の存在こそ、岐阜弁が「面白い」と言われる最大の理由なんです。
知らずに使うと、まるでコントのようなすれ違いが生まれることも。この記事では、そんな誤解されやすいけれど面白い岐阜弁を厳選し、その正しい意味と使い方を徹底解説します。
この記事を読み終える頃には、あなたも岐阜弁の面白さにハマり、岐阜県民とのコミュニケーションが何倍も楽しくなっているはずです。さあ、言葉のすれ違いが生む笑いの世界へようこそ!
【第一章】意味が分かると面白い!標準語と激似な岐阜弁の世界

岐阜弁の面白さの神髄は、標準語と同じ響きなのに、全く異なる意味で使われる言葉たちにあります。ここでは、特に勘違いしやすい代表的な方言を、クイズ形式で楽しく学んでいきましょう。あなたはいくつ分かりますか?
- 第1問:体力ゲージがゼロ?「えらい」
- 第2問:物理法則を無視?「机をつる」
- 第3問:決して下ネタではない!「ちんちん」
- 第4問:修理するわけじゃない?「なおす」
- 第5問:どこかに捨てる?「ほかる」
- 第6問:久しぶり!「やっとかめ」
第1問:体力ゲージがゼロ?「えらい」
友人から「昨日は一日中立ち仕事で、本当にえらかったわ…」と言われたら、あなたはどう返しますか?「偉いね!頑張ったね!」と褒めたくなりますが、それは典型的なすれ違いの始まりです。
岐阜弁の「えらい」は、「偉い(great)」ではなく「疲れた、しんどい(tired)」という意味で使われます。 体力的、精神的な疲労困憊を表す言葉なのです。
状況 | 岐阜県民のセリフ | 標準語訳 |
長時間歩いた後 | 「あー、えらい!もう歩けん!」 | 「あー、疲れた!もう歩けない!」 |
風邪をひいた時 | 「熱があって体がえらいで、今日は休むわ」 | 「熱があって体がしんどいから、今日は休むよ」 |
もし相手に「えらそうだね」と言われたら、それは「偉そうに見える」という非難ではなく、「疲れているようだね」という心からの心配です。 その時は「ありがとう、ちょっと疲れちゃって」と返すのが正解です。
第2問:物理法則を無視?「机をつる」

引越しの手伝い中、岐阜県民の友人から「この机、あっちの部屋までつってくれる?」と頼まれたら、きっとあなたの頭には「?」が浮かぶでしょう。
岐阜弁では、なぜか「机を運ぶ」という行為だけを、特別に「机をつる」と表現します。 もちろん、天井からロープで吊るすわけではありません。この不思議な表現は岐阜県全域で使われており、その語源ははっきりしていませんが、県民にとってはごく自然な言葉です。
この言葉を知っているだけで、引越しや大掃除の際のコミュニケーションが格段にスムーズになります。
第3問:決して下ネタではない!「ちんちん」

喫茶店で「お待たせしました、コーヒーちんちんやで気ぃつけてな」と言われたら、思わず赤面してしまうかもしれません。しかし、ご安心ください。これは全く卑猥な意味ではありません。
岐阜弁における「ちんちん」は、「(液体などが)非常に熱い」状態を表す言葉です。 やかんのお湯が沸騰している様子や、淹れたてのお茶などを指して使われます。
岐阜弁 | 標準語訳 |
「このお茶、ちんちんや!」 | 「このお茶、すごく熱い!」 |
「お風呂、ちんちんにしといたで」 | 「お風呂、熱々にしておいたよ」 |
この言葉は、特に年配の世代でよく使われます。もし聞く機会があっても、決して驚かず、冷静に「熱いんですね、気をつけます」と対応しましょう。
第4問:修理するわけじゃない?「なおす」
「その本、読んだら棚になおしといてね」。こう言われたら、「本が壊れているのかな?」と疑問に思うかもしれません。
関西地方でも広く使われますが、岐阜弁の「なおす」は「修理する(fix)」ではなく、「片付ける、しまう(put away)」という意味です。元の場所に戻す、整理整頓するといったニュアンスで使われます。
岐阜弁 | 標準語訳 |
「おもちゃを箱になおす」 | 「おもちゃを箱に片付ける」 |
「冬物の服をなおす」 | 「冬物の服を(クローゼットなどに)しまう」 |
この言葉は、家庭や職場など、あらゆる場面で頻繁に登場する重要な単語です。覚えておくと生活がぐっと楽になります。
第5問:どこかに捨てる?「ほかる」
「そのゴミ、ほっといて」。標準語の感覚だと「その場に放置して」と聞こえますが、岐阜弁では意味が異なります。
岐阜弁の「ほかる」は、主に「捨てる(throw away)」という意味で使われます。 「ゴミをほかる」は「ゴミを捨てる」という意味になります。
岐阜弁 | 標準語訳 |
「この紙、ほかっといて」 | 「この紙、捨てておいて」 |
「生ゴミをほかる場所はどこ?」 | 「生ゴミを捨てる場所はどこ?」 |
第6問:久しぶり!「やっとかめ」
「おお、Bさん!やっとかめやな!」。道でばったり会った知人にこう言われたら、それは再会を喜ぶ挨拶です。
「やっとかめ」は「久しぶり」を意味する、少し古風で丁寧な言葉です。 漢字では「八十日目」と書き、それほど長い間会っていなかった、というニュアンスが込められています。
ビジネスシーンや目上の方に対して「ご無沙汰しております」と言うような場面でも使える、品のある方言です。もしあなたが岐阜県に移住して、この言葉を自然に使うことができれば、地元の人々から「お、分かってるね!」と一目置かれるかもしれません。
【第二章】あなたも岐阜県民?面白方言クイズと実践会話

第一章で学んだ知識を武器に、さらにディープな岐阜弁の世界に挑戦してみましょう。クイズや会話シミュレーションを通じて、あなたの「岐阜県民度」を試します。
クイズで腕試し!岐阜弁【中〜上級編】
さあ、あなたの岐阜弁知識は本物か?少し難易度の高いクイズに挑戦してみましょう。
語尾で変わるニュアンス:「〜やお」「〜やらぁ」

岐阜弁の面白さは単語だけではありません。会話の雰囲気を大きく左右するのが、特徴的な語尾です。
- 「〜やお」「〜やおね」
- 意味:「〜だよ」「〜だよね」
- ニュアンス:同意を求めたり、事実を優しく伝えたりする時に使います。岐阜弁の「かわいい」響きを代表する語尾です。
- 例文:「このケーキ、美味しいやおね?」
- 「〜やらぁ」
- 意味:「〜だろう」
- ニュアンス:推測や憶測を表します。標準語の「だろう」よりも柔らかく、断定を避ける響きがあります。
- 例文:「彼はもうすぐ来るやらぁ。」
これらの語尾を使いこなせると、あなたの岐阜弁は一気にネイティブらしくなります。ちなみに、岐阜県が舞台となったアニメ『君の名は。』や『氷菓』でも、こうした方言の響きが作品の雰囲気を豊かにしています。
地元民との会話シミュレーション
あなたが岐阜市内の喫茶店に入ったとします。店主との会話をシミュレーションしてみましょう。
よくある質問
Q. 岐阜弁で「疲れた」ってなんて言うの?
A. 岐阜弁で「疲れた」や「しんどい」は「えらい」と言います。 体や心が疲労している状態を表す言葉で、「偉い」という意味ではありません。例えば「今日は仕事でえらかった」のように使います。
Q. 岐阜弁の「机をつる」って、本当に吊るすの?
A. いいえ、吊るすわけではありません。「机をつる」は「机を運ぶ」という意味で使われる、岐阜県独特の面白い表現です。 引越しの手伝いなどで頼まれた際は、運ぶのを手伝ってあげましょう。
Q. 岐阜弁で「久しぶり」ってどう挨拶するの?
A. 岐阜弁で「久しぶり」は「やっとかめ」と言います。 「八十日目」と書く、少し丁寧で古風な挨拶の言葉です。友人だけでなく、目上の方にも使える便利な方言なので、覚えておくと良いでしょう。
総括・まとめ
今回は、標準語とそっくりなのに意味が全く違う、面白い岐阜弁の世界を探求してきました。
「えらい」は「疲れた」、「机をつる」は「机を運ぶ」、そして「ちんちん」は「とても熱い」など、知らなければコントのようなすれ違いを生んでしまう言葉たちが、岐阜弁の大きな魅力です。
これらの言葉は、単に面白いだけでなく、岐阜県の人々の気質や文化を映し出しています。例えば、「えらそうやね」という言葉が、相手を非難するのではなく心配する言葉である点には、岐阜県民の優しさが表れています。
この記事で紹介した方言は、ほんの一部に過ぎません。次にあなたが岐阜を訪れる際には、ぜひ耳を澄ませ、地元の人々との会話に挑戦してみてください。きっと、言葉の面白さを通じて、旅がもっと豊かで忘れられないものになるはずです。
本記事は公式サイト・各サービス公式情報を参照しています