「この資料、そこになおしとって」
もし熊本出身の上司からこう言われたら、あなたはどうしますか?
「え、どこか間違ってますか?」と書類を必死に見直しても、答えは見つかりません。
実はこれ、熊本弁では全く違う意味になるのです。
熊本弁は、一見すると力強くて少し怖い印象があるかもしれません。
しかし、その意味を知れば知るほど、ユニークで面白い発見に満ちています。
この記事は、そんな熊本弁の魅力をクイズ形式で楽しく学べるように作りました。
読み終える頃には、あなたも熊本弁の面白さにハマっているはずです。
【初級編】まずは腕試し!日常会話でよく聞く熊本弁クイズ

まずは基本の10問です。熊本を訪れたら耳にする機会が多い言葉ばかりを集めました。肩の力を抜いて、気軽にチャレンジしてみてください。各問題のすぐ下に答えと解説があります。
- 第1問:とりあえず、じゃない?「さしより」
- 第2問:全然わからない…「いっちょん」
- 第3問:最高のほめ言葉!「だご」「たいぎゃ」
- 第4問:熊本県民の心意気!「がまだす」
- 第5問:ドアに貼られた謎の言葉「あとぜき」
- 第6問:変幻自在の指示語「ぎゃん」
- 第7問:褒め言葉?「もっこす」
- 第8問:流行の最先端?「わさもん」
- 第9問:共感の相槌「ほんなこつ」
- 第10問:最重要!修理じゃない「なおす」
第1問:とりあえず、じゃない?「さしより」
居酒屋で席に着いた熊本県民が、まず口にする言葉「さしよりビール!」。さて、どんな意味でしょう?
答え:とりあえず
解説:「さしより」は「とりあえず」「何はともあれ」という意味で、会話の口火を切る際によく使われる定番のフレーズです。
第2問:全然わからない…「いっちょん」
「今日のテスト、いっちょん分からんかった…」。これはかなり絶望的な状況ですが、どういう意味か分かりますか?
答え:全く、全然
解説:「いっちょん~ない」の形で「少しも~ない」という強い否定を表します。 九州の他の地域でも使われることがある有名な方言です。
第3問:最高のほめ言葉!「だご」「たいぎゃ」
「こんラーメン、だごうまか!」。これは最高の褒め言葉です。さて、その意味は?
答え:とても、すごく
解説:どちらも「とても」を意味する強調の言葉です。 「だご」は比較的若い世代が、「たいぎゃ」は幅広い世代で使われる傾向があります。
第4問:熊本県民の心意気!「がまだす」
「明日も仕事ばがまだすばい!」。熊本県民の勤勉な気質が表れた一言。どんな意味でしょうか?
答え:頑張る、精を出す
解説:語源は「我慢を出す」とされ、困難に耐えながら一生懸命に働く、というニュアンスが含まれています。
第5問:ドアに貼られた謎の言葉「あとぜき」
熊本の公共施設のドアで「あとぜき」という貼り紙を見かけたら、何をすべきでしょう?
答え:(開けた)ドアを閉めること
解説:「後ろを堰(せ)く」が語源で、多くの熊本県民が標準語だと思っている言葉の代表格です。 これを知らないと、ドアを開けっ放しにしてしまうかもしれません。
第6問:変幻自在の指示語「ぎゃん」
「どぎゃんしたと?」と心配されたら、どう返しますか?「こぎゃん」「そぎゃん」「あぎゃん」と変化する便利な言葉です。
答え:こんな、そんな、あんな、どんな
解説:指示語として非常に便利な言葉で、「どうしたの?(どぎゃん)」「こうなったんだ(こぎゃん)」のように使います。
第7問:褒め言葉?「もっこす」
「うちの親父はもっこすだけんね」。これは褒め言葉?それとも…?
答え:頑固者、一徹者
解説:単に頑固なだけでなく、自分の信念を曲げない純粋さといった肯定的な意味合いも含まれる、奥深い言葉です。
第8問:流行の最先端?「わさもん」
新しいスマートフォンが発売されると、すぐに行列に並ぶ人。熊本弁では何と言うでしょう?
答え:新しいもの好き
解説:流行に敏感で、新しいものにすぐ飛びつく好奇心旺盛な人を指す言葉です。
第9問:共感の相槌「ほんなこつ」
相手の話に「へぇ〜!」と感心したとき、熊本県民ならこう相槌を打ちます。「ほんなこつ、すごかねぇ」。
答え:本当に
解説:「本当に」「実に」という意味で、会話の中で共感や驚きを示す際に使われる温かみのある言葉です。
第10問:最重要!修理じゃない「なおす」
冒頭の問題です。「この本、本棚になおしとって」。頼まれたあなたは、何をすべきでしょうか?
答え:片付ける、しまう
解説:県外の人が最も勘違いしやすい方言の代表格。 「修理する」という意味ではないので、壊れていなくても元の場所に戻してあげましょう。
【中〜上級編】これが分かれば熊本通!面白方言クイズ

ここからは難易度がアップします。
標準語と同じ音なのに意味が違ったり、初めて聞くとドキッとしてしまったりするような、トリッキーな言葉を集めました。
全問正解できたら、あなたも立派な「熊本通」です!
- 第1問:暴力じゃない?「びんた」
- 第2問:ドキッとする言葉?「しこる」
- 第3問:暑いの?寒いの?「ぬくい」
- 第4問:イカじゃない?「やおいかん」
- 第5問:かわいい名前の病気?「おひめさん」
- よくある質問
- 総括・まとめ
第1問:暴力じゃない?「びんた」
「そこのびんたば取ってくれん?」。え、びんたを…?物騒に聞こえますが、全く違うものを指しています。一体何でしょう?
答え:頭、うなじ
解説:熊本弁で「びんた」は、頭や首の後ろ(うなじ)を指す言葉です。そのため、「びんたをかく」は「頭をかく」という意味になります。決して平手打ちのことではありません。
第2問:ドキッとする言葉?「しこる」
「あいつ、いっつもしこっとるけん好かん」。標準語の感覚で聞くと誤解してしまいそうなこの言葉。本当の意味は何でしょう?
答え:かっこつける、気取る、威張る
解説:決して下品な意味ではありません。 語源は「強い」を意味する古語「醜(しこ)」で、「強がって見せる」というのが本来のニュアンスです。 言葉のルーツを知ると、印象が全く変わって面白いですよね。
第3問:暑いの?寒いの?「ぬくい」
「今日はぬくいねー」。この一言、春先に言われるか真夏に言われるかで意味が変わるかもしれません。どういう意味でしょう?
答え:温かい、または、暑い
解説:標準語の「温かい」と同じ意味でも使いますが、熊本弁では真夏のうだるような「暑さ」を表現する際にも使われます。 文脈や季節で判断する必要がある、少しトリッキーな言葉です。
第4問:イカじゃない?「やおいかん」
「この宿題、やおいかんばい…」。柔らかいイカのことではありません。一体どんな状況を表しているのでしょうか?
答え:簡単ではない、大変だ、厄介だ
解説:古語で「簡単」を意味した「やわらかい」が「やわらかくいかない(簡単にはいかない)」となり、それが縮まってできた言葉です。
第5問:かわいい名前の病気?「おひめさん」
「目に『おひめさん』ができた」。病気なのに、まるでお姫様?一体なんの病気のことでしょう?
答え:ものもらい
解説:目の病気である「ものもらい」のことを、熊本では「おひめさん」または「おひめさま」と呼びます。 病名とは思えない優雅でかわいらしい響きですね。 熊本弁には、このように響きが「かわいい」と評判の言葉がたくさんあります。
よくある質問
熊本弁で「頑張って」ってなんて言うの?
「頑張って」は熊本弁で「がまだして」や「がまだせ」と言います。「我慢を出す」が語源とされ、困難に耐えて一生懸命やりなさい、という励ましの気持ちが込められた言葉です。
熊本弁で「ありがとう」ってどう言うの?
熊本では「ありがとう」は標準語と同じように使いますが、より丁寧に感謝を伝えたい場合は「だんだん」や「ちょうじょう」と言うことがあります。ただし、これらは比較的年配の方が使う古い表現です。
熊本弁の「とっとっと」ってどういう意味?
「とっとっと」は「取っているの?」という意味の疑問文です。有名な早口言葉「おっとっと、とっとってって、いっとったとに」は「おっとっと(お菓子)を取っておいてと言ったのに」という意味になります。
総括・まとめ
今回は、熊本弁の面白さをクイズ形式でご紹介しました。いかがでしたか?
初級編の「さしより」「あとぜき」から、上級編の「しこる」「やおいかん」まで、意味を知ると「なるほど!」と膝を打ちたくなるような言葉ばかりだったのではないでしょうか。
特に「なおす(片付ける)」や「ぬくい(暑い)」のように、標準語と同じなのに意味が違う言葉は、知っているだけでコミュニケーションがぐっとスムーズになります。
この記事で熊本弁に興味を持ったあなたは、もう立派な「わさもん(新しいもの好き)」です。
ぜひ、友人や家族にもクイズを出して、一緒に盛り上がってみてください。
そして熊本を訪れる機会があれば、勇気を出して「だごうまか!」と使ってみましょう。
きっと、地元の人との距離が縮まるはずです。