「この仕事、私にもできます」「夕食の準備ができました」など、日常的に使う「できる」という言葉。
キーボードで変換すると「できる」と「出来る」の両方が候補に出てきて、どちらを使うべきか迷った経験はありませんか?
実は、この使い分けには一定のルールと、推奨される表記が存在します。
この記事では、公的なルールやメディアの基準を基に、「できる」と「出来る」の正しい使い分けを、誰にでも分かりやすく解説します。
この記事を読めば、もう表記に迷うことはありません。
「できる」と「出来る」の使い分け【結論と基本ルール】
まずは、「できる」と「出来る」の使い分けに関する基本的な考え方と、公的なルールについて見ていきましょう。
- 【結論】迷ったらひらがな「できる」が最も安全
- 原則は「動詞・副詞はひらがな、名詞は漢字」
- 文化庁が示す「公用文」のルールとは?
- 新聞・メディアの基準『記者ハンドブック』の見解
- なぜひらがな表記が推奨されるのか?
- まとめ:「できる」の基本ルール
【結論】迷ったらひらがな「できる」が最も安全
いきなり結論からお伝えします。
もし「できる」と「出来る」の使い分けに迷ったら、ひらがなで「できる」と書くのが最も安全で、一般的です。
特に、Webサイトの記事やビジネスメールといった、多くの人が目にする文章では、ひらがな表記が主流となっています。
漢字の「出来る」は、文脈によっては少し堅苦しい印象を与えてしまうこともあるため、特別な理由がない限りはひらがなを使うと覚えておくと良いでしょう。
原則は「動詞・副詞はひらがな、名詞は漢字」
使い分けの大原則は、品詞によって判断することです。
- 動詞・副詞の場合 → ひらがな「できる」
- 能力・可能: 「英語を話すことができる」
- 完成・発生: 「食事ができる」
- 優秀さ: 「彼は仕事ができる」
- 副詞的: 「できるだけ早くお願いします」
- 名詞の場合 → 漢字「出来」
- 「テストの出来が良かった」
- 「野菜の出来が悪い」
このように、名詞として「仕上がり具合」などを意味する場合は漢字の「出来」を使います。
まずはこの基本を押さえるだけで、多くの場面で迷わなくなります。
文化庁が示す「公用文」のルールとは?
より厳密なルールを知るために、国の行政機関が作成する文書(=公用文)の基準を見てみましょう。
文化庁は、公用文での漢字の使い方について指針を出しており、そこでは「できる」と「出来る」を意味によって使い分けるとしています。
【公用文での使い分け】
- 漢字「出来る」を使う場合
- 意味: 生じる・発生する・完成する
- 例: 新しい駅が出来る。夕食の準備が出来る。
- ひらがな「できる」を使う場合
- 意味: 能力・可能(補助動詞)
- 例: 誰でも参加できる。泳ぐことができる。
このように、公的な文書では意味に応じて使い分けるのが正式なルールです。
ただし、これはあくまで公用文の基準であり、一般的なビジネス文書でこのルールを厳密に守る必要はありません。
新聞・メディアの基準『記者ハンドブック』の見解
次に、新聞社や出版社が参照する『記者ハンドブック』(共同通信社)の基準を見てみましょう。
多くのメディアは、このハンドブックに沿って表記を統一しています。
『記者ハンドブック』では、動詞の「できる」は原則として、ひらがなで表記すると定められています。
これは、漢字が多すぎると文章が堅く見え、読者が読みにくく感じることを避けるためです。
読みやすさを最優先するメディアならではの考え方と言えます。
私たちが普段目にするニュース記事などでひらがなの「できる」が多いのは、このためです。
なぜひらがな表記が推奨されるのか?
公用文のルールがあるにもかかわらず、なぜ一般的にはひらがなの「できる」が推奨されるのでしょうか。
理由は主に2つあります。
- 読みやすさ(可読性)の向上 漢字が連続すると、文章に圧迫感が生まれてしまいます。特に「外出出来ます」のように、他の漢字と続く場面では、ひらがなで「外出できます」と書くことで、視覚的に文章が柔らかくなり、読みやすさが向上します。
- 意味の判断が不要 公用文のルールのように「この場合は漢字で、この場合はひらがなで…」と毎回考えるのは大変です。ひらがなに統一してしまえば、意味を判断する必要がなくなり、誰でも迷わずスピーディーに文章を作成できます。
まとめ:「できる」の基本ルール
このセクションのポイントをまとめます。
- 迷ったらひらがな「できる」が最も無難。
- 「出来栄え」など名詞の場合は漢字「出来」。
- 公用文では意味によって使い分けるが、一般的ではない。
- 新聞などメディアでは、読みやすさからひらがなを推奨。
シーン別「できる」「出来る」の使い分け実践ガイド
基本ルールを理解したところで、次はビジネスメールやレポートなど、具体的なシーンでの使い分けについて解説します。
- ビジネスメールや企画書で使う場合
- レポートや論文で表記する場合
- ブログやWebコンテンツでの考え方
- 注意点:「〜することができます」は冗長な表現?
- 「出来事」「出来高」など複合語は漢字表記で
- まとめ:「できる」「出来る」シーン別ポイント
ビジネスメールや企画書で使う場合
結論として、ひらがなの「できる」を使いましょう。
ビジネスコミュニケーションでは、正確さと同じくらい、分かりやすさと読みやすさが重要です。
相手に余計なストレスを与えず、スムーズに内容を理解してもらうために、ひらがな表記が適しています。
- OK例: 「明日、対応できます。」
- OK例: 「資料の準備ができました。」
- △避けた方が無難な例: 「資料の準備が出来ました。」
特に「~できます」という補助動詞の形で使う場合は、ひらがなが圧倒的に一般的です。
レポートや論文で表記する場合
レポートや論文においても、基本的にはひらがな「できる」が推奨されます。
学術的な文章でも、新聞・メディアと同様に可読性が重視されるためです。
ただし、指導教官や提出先のガイドラインで表記法が定められている場合は、そちらに従ってください。
特に指定がなければ、ひらがなに統一するのが無難です。
ブログやWebコンテンツでの考え方
ブログやWebコンテンツは、不特定多数の読者がターゲットです。
そのため、最も読みやすい「できる」を使うのが鉄則です。
検索エンジンからの評価(SEO)においても、ユーザーの滞在時間や満足度が重要視されます。
読みにくい漢字表記はユーザーの離脱に繋がる可能性があるため、ひらがな表記で統一しましょう。
注意点:「〜することができます」は冗長な表現?
「できる」の使い方で、もう一つ注意したいのが「~することができます」という表現です。
これは「~できます」で十分に意味が通じるため、冗長な表現(二重表現)と見なされることがあります。
- △冗長な表現: 「どなたでも参加することができます。」
- ◎簡潔な表現: 「どなたでも参加できます。」
文章をスッキリと見せるためにも、「~できます」で言い換えられないか確認する癖をつけると良いでしょう。
「出来事」「出来高」など複合語は漢字表記で
これまで動詞の「できる」について解説してきましたが、「出来」が他の言葉と結びついた複合語の場合は、漢字で書くのが一般的です。
【漢字で書く複合語の例】
- 出来事(できごと)
- 上出来(じょうでき)
- 不出来(ふでき)
- 出来心(できごころ)
- 出来高(できだか)
- 出来合い(できあい)
- 出来栄え(できばえ)
これらの言葉は、ひらがなで「できごと」と書くこともありますが、一つの独立した名詞として、漢字で表記されるのが通例です。
まとめ:「できる」「出来る」シーン別ポイント
最後に、シーン別の使い分けポイントを一覧で確認しましょう。
| シーン | 推奨表記 | 理由・備考 |
| ビジネスメール | できる | 読みやすさと分かりやすさを優先 |
| レポート・論文 | できる | 特に指定がなければ可読性を重視 |
| Webコンテンツ | できる | 読者のストレスを減らし、離脱を防ぐ |
| 官公庁向け文書 | 使い分け | 公用文のルールを意識する |
| 複合語 | 出来 | 「出来事」などは一つの単語として漢字で |
このように、ほとんどのビジネスシーンやWeb上では、ひらがなの「できる」で統一して問題ありません。
自信を持って、ひらがなを使っていきましょう。
よくある質問 FAQ
結局、ビジネスシーンでは「できる」と「出来る」のどちらが正解ですか?
ひらがなの「できる」が正解と考えて良いでしょう。読みやすさと分かりやすさが重視される現代のビジネスコミュニケーションでは、ひらがな表記が圧倒的に主流であり、無難な選択です。
手書きの文章でも、ひらがなの方が良いのでしょうか?
はい、手書きの場合でもひらがなで「できる」と書く方が読みやすいため推奨されます。特に、続け字などで漢字が読みにくくなることを防ぐ意味でも、ひらがな表記が親切です。
会社の偉い人や年配の方向けの文章で「出来る」を使った方が良い場合はありますか?
基本的にはありません。相手の年齢や役職に関わらず、読みやすいひらがな表記が好まれます。ただし、非常に格式を重んじる相手や、伝統的な慣習が強い業界(一部の金融、法律関係など)で、あえて重厚な印象を与えたい場合に限り「出来る」が使われる可能性はゼロではありません。迷ったら、ひらがなを選ぶのが賢明です。
小説やエッセイなどの創作文ではどうですか?
創作文の場合は、作者の意図や文体の雰囲気によって自由に使い分けられます。「出来る」という漢字表記を使うことで、時代設定の古さや、登場人物の堅い性格を表現するといったテクニカルな使い方が可能です。