北海道弁の「あめる」は、食品のぬめりや臭いを敏感に察知する言葉ですが、北海道には他にも「身体感覚」や「心の動き」を絶妙に表現する言葉がたくさんあります。
「なんか、あずましくないなぁ...」
「そったらことしたら、おっかないべさ!」
これらの言葉は、「あめる」と同じく、北海道の厳しい自然環境や生活の中で、自分の状態を相手に伝えるために欠かせないツールです。
この記事では、「あめる」と一緒に使われることも多い、北海道民の「五感」に根ざした代表的な生活方言を紹介します。

① あずましくない(落ち着かない・不快だ)
意味: 落ち着かない、居心地が悪い、すっきりしない。
標準語の「東(あずま)」とは無関係で、語源は「吾妻(あづま=妻)」のそばにいるような心地よさ(あずましい)の否定形など諸説あります。
「あめる」との関係
実はこの言葉、「あめる」ような状況と非常に相性が良いです。
北海道の夏、湿度が高くてジメジメしている時や、部屋が散らかっていて気分が晴れない時などに使います。
今日は蒸してて、なんかあずましくないねぇ。ご飯もあめるから早くしまって!
(訳:今日は蒸していて、なんだか不快だね。ご飯も腐るから早くしまって!)
② おっかない(怖い・危険だ)
意味: 怖い、恐ろしい、危険だ。
標準語の「おっかない」と同じですが、北海道では使用頻度が非常に高く、日常的な「危ない」という場面で多用されます。
「あめる」との関係
食中毒の危険や、自然への畏怖を表す言葉として、「あめる」とセットで登場することがあります。
昨日のおかず、あめてるかもしれなくて食べるのおっかないわ
(訳:昨日のおかず、腐っているかもしれなくて食べるのが怖い/危険だわ)
③ こわい(疲れた・だるい)
意味: 体がだるい、疲労困憊している。
注意! 標準語の「怖い(恐怖)」ではありません。北海道や東北地方では、体調の辛さを「こわい」と表現します。
昨日は畑仕事したから、体がこわい
(訳:昨日は畑仕事をしたから、体がだるくて辛い)
④ はく(手袋をはめる)
意味: 手袋を着用する(はめる)こと。
北海道では、靴下やズボンだけでなく、手袋も「はく」ものです。「手袋をはめる」と言うと、よそよそしい感じがします。
外しばれる(寒い)から、手袋はいていきなさい
(訳:外は凍るほど寒いから、手袋をして行きなさい)
⑤ めんこい(可愛い)
意味: 可愛い、愛おしい。
人だけでなく、小さな動物や小物に対しても使われます。
あら~、めんこい赤ちゃん!
なぜ北海道弁は「感覚」にこだわるのか?
「あめる」「あずましくない」「おっかない」。これらの言葉に共通するのは、「自分を取り巻く環境や状態を、直感的に表現している」という点です。
- あめる: 食べ物の危険な変化(臭い・ぬめり)を察知。
- あずましくない: 環境の不快さを察知。
- おっかない: 身に迫る危険を察知。
北海道という、冬は極寒、夏は多湿となる厳しい自然環境の中で生き抜くために、こうした「五感のセンサー」を言語化した言葉が、淘汰されずに強く残ったのかもしれません。
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まとめ:北海道弁は「生存のための言葉」
もし北海道の人と話す機会があったら、ぜひこれらの言葉を使ってみてください。
「この人は北海道の感覚(ハート)をわかってる!」と、距離がぐっと縮まるはずです。
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